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根管治療は保険適用?自費?違いについて

根管治療は「保険」と
「自費」どっち?
治療の違い

根管治療は「保険」と「自費」どっち?治療の違い

歯茎の腫れやひどい痛み、歯の色が変わるなどの症状が現れている場合は、根管治療をしなければいけない可能性があります。
根管治療は歯の根の治療のことで、「歯の神経を抜く」と言われることが多いですが、正確には「細菌に感染した神経を除去する」治療です。
虫歯が神経まで及んだ場合、細菌に感染した神経を除去し、歯の根の中を清掃して殺菌した後、お薬を入れてしっかり塞ぎます。
しかし、根管治療は難易度が高いので、細菌が取り残されて再び虫歯になってしまう場合が多いです。
被せ物の種類は、セラミック(自費)銀歯(保険)のように明確な違いがあり、同様に根管治療においても自由診療と保険診療では内容が大幅に変わります。
保険診療には定められた規則があり、使用できるお薬や治療法が制限されるため、対応できる疾患や治療成果には限度があります。

違い①検査・診断方法

違い①検査・診断方法

違い①検査・診断方法

保険診療では、お口の中の状態やレントゲン写真をチェックして、虫歯の進行度合や治療法などについてご相談します。
しかし、一般的なレントゲン写真では患部を2次元でしかチェックできないため、本当は歯の根が3本あるにもかかわらず、2本しか写らない場合もあります。レントゲンでは、撮影の角度や撮影者の技術レベルによって得られる情報が変わってしまいます。
歯科医師が状態を正確に把握できていないまま治療してしまうと、細菌を根の中に多量に取り残してしまい、虫歯が再発しやすいです。
一方、自由診療では、レントゲン写真に加えてCT画像も併せて診断します。
CTは患部を3次元で映し出すことができます。
血管や神経の位置、顎の骨の様子、歯の根の数などを立体として映し出すことによって、それらの位置を確実に見極めることができるため、患者様の状態を的確に判断することができます。
CT撮影によって、疾患や歯の根の数などを見落とさずに済むため、治療が成功する可能性が高くなります。

違い②治療期間・通院回数

違い②治療期間・通院回数根管治療は、保険診療と自由診療のどちらを選ぶかで治療の回数や期間が変わります。
保険診療には、治療法や時間に制約があります。一般的には1回あたりの治療時間が約30分で、4~5回程度通院します。複雑な症例では、10回以上の通院で半年以上の期間を要する場合もあります。
自由診療では、1回あたり約60~90分の治療時間で、2~3回程度の通院で終了します。期間は約1ヶ月間です。
前歯は根の数が少ないため、1回の通院で治療が終了する場合もあります。
根管治療は、治療の期間が短いほど根管の中で細菌が増えるリスクを減らすことができ、結果として再治療の可能性を低下させることができます。
治療間隔をあけると再治療の可能性が高くなるため、週1回程度の通院が必要になります。
自由診療の根管治療は、治療回数を減らすことで患者様と歯への負担が少なくなるため、治療が成功しやすくなります。

違い③治療の
成功率(精度・薬剤)

根管治療は大変難しい治療です。保険診療で根管治療をした場合は30~50%程度が成功しますが、患者様の過半数に再び感染が起こっていることが東京医科歯科大学の調査によって判明しています。
自由診療では、成功確率を高めるために以下のような様々な工夫がなされています。

視野を4~20倍拡大できるマイクロスコープを使用

視野を4~20倍拡大できるマイクロスコープを使用保険診療では、拡大鏡(ルーペ)を用いるか、肉眼で確認しながら根管治療を実施します。
自由診療では、歯科用顕微鏡(マイクロスコープ)を用いるため、細くて暗い根管の中をはっきり映し出せ、より高精度な治療ができます。
マイクロスコープを用いると、細菌に感染した神経を残さず除去できるため、再発リスクを大きく低下させ、根管治療が成功しやすくなります。
ただし、日本でマイクロスコープを導入している歯科医院は数%だけです。機器が高価でメンテナンスや設置のコストも高いことが理由として挙げられます。

ラバーダム防湿法による感染防止

ラバーダム防湿法による感染防止口腔内には細菌が数多く棲みついているため、患部以外をラバーダムと呼ばれるゴム製の薄地のカバーで覆って、細菌や唾液が侵入しないようにします。
根管治療の途中で患部に唾液が侵入すると再度感染してしまうため、症状は全く緩和されません。
反対に、根管治療中に細菌に感染しなければ、治療は成功します。
また、ラバーダム防湿法では、小さな治療器具や根管の中を洗う時に使用する強いお薬が誤って口腔内へ入ることがないため、安全に治療を行えます。
なお、ラバーダム防湿法は、日本では保険診療の点数が加算されないため、病院側の費用負担や装着時間の長さが原因であまり普及していません。

ニッケルチタン製ファイルを使用

ニッケルチタン製ファイルを使用根管治療では「ファイル」という器具を使用し、細菌に感染した神経を取り除きます。
通常の保険診療で使われるステンレス製のファイルは、その硬さによって確実に汚染を除去できますが、柔軟性がないため、根管内を傷つける危険性があります。
自由診療では、ニッケルチタン製のファイルを使います。とてもしなやかで、複雑な形状の歯の根の先まで届くため、汚れをしっかり除去できます。
保険診療では、歯科医師が手動で処置しますが、自由診療では手動と電動モーターの両方を使って処置します。電動モーターは汚染を除去するのに十分な力があり、患部を削りすぎるのを防止するために、負荷がある程度かかると自動で止まります。

細菌の繁殖を抑える根管充填剤を充填

根管の中を清掃した後、根管充填剤(神経の代わりになるお薬)を根の先に詰めて、歯の神経を取り除いた後にできる隙間を密封します。この際、しっかり密封しないと再感染しやすくなります。
保険診療では、天然ゴム製の柔らかい棒のようなガッタパーチャを充填します。
自由診療では、MTAセメントを併用可能で、アメリカ製の骨の再生機能を持つ材料です。
MTAセメントは歯の根にあいた穴を完全に塞げますが、ガッタパーチャでは隙間が残ってしまい、そこから細菌感染を起こして、抜歯が必要となる場合があります。

違い④再発率

根管治療後に再治療が必要になる確率は大変高く、保険診療の場合は8割を超えます。

  根管治療の精度 被せ物の精度 根管治療の成功率
Case.1
高い精度

自費(精密)被せ物
91.4%
Case.2
中度の精度

自費(精密)被せ物
67.6%
Case.3
高い精度

保険の被せ物
44.1%
Case.4
低い精度

保険の被せ物
18.1%

被せ物と根管治療の精度次第で、治療が成功する確率が大幅に変動します。再治療の可能性を減らすために、被せ物と根管治療の両方の精度が重要です。
根管治療は、何度も治療を重ねるほど成功率は低くなります。
上記の結果から、再治療が必要になる確率は次のようになります。

  • 自由診療の根管治療:約9%
  • 保険診療の根管治療:約82%

自由診療と保険診療の根管治療には、再発率と成功率の点で大きな差があります。

違い⑤費用

根管治療の費用は、通常、保険診療で2,000〜3,000円程度、自由診療で7~15万円程度かかります。
自由診療では、治療する歯の場所によって金額が変わるケースが少なくありません。
前歯の場合は、一般的には歯の根の数が1本であり、根の構造が単純である症例が多いため、7万円程度で治療できる場合があります。
一方、奥歯の場合は、歯の根の形状が複雑で数も多く、細菌感染した患部を完全に除去するのが困難です。高度な治療が求められるため、費用が高くなりやすいです。